平成24年度の税制改正法案が平成24年3月30日に成立し、4月1日から施行されました。この平成24年度税制改正について内容をピックアップしてお伝えします。
1.給与所得控除の見直し その年中の給与等の収入金額が1,500万円を越える場合の給与所得控除額について、245万円の上限が設けられました。
給与収入金額が1500万円以上の場合改正前の給与所得控除額は、【収入金額×5%+170万円】で収入金額が増えると控除額も増額されるしくみでしたが、この度上限が設けられることにより高額所得者にとっては増税となります。この改正は平成25年度の所得税より適用されます。 また、この改正等に伴い、給与所得の源泉徴収税額表が平成25年分より変更されます。この税額表は平成19年より改正はなかったのですが、7年ぶりに変更となりますのでご注意ください。
2.退職所得課税の見直し 勤続年数5年以下の法人役員等の退職金について、2分の1課税が廃止となります。
退職金に対する課税については、退職後の生活への影響を考慮し、退職所得控除金額を控除した残額の2分の1に税率をかけて計算する累進緩和措置が採られています。ただ、一部の法人などでは給与の受取を繰延べた後で高額な退職金を受け取ることにより税負担を回避するという事例が生じていることからこの改正がなされました。
この改正は平成25年度以後の所得税及び平成25年1月1日以後に支払われるべき退職金等から適用されます。
直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について次の措置を講じます。
直系尊属(両親、祖父母)から住宅資金の贈与を受けた場合には、それぞれの贈与を受けた年に応じて次の非課税限度額までの金額については贈与税の課税価格に算入されません。
1500万円
1000万円
平成25年
1200万円(※1500万円)
700万円(※1000万円)
平成26年
1000万円(※1500万円)
500万円(※1000万円)
※東日本大震災の被災者等の場合
ただし、適用対象となる住宅用家屋の床面積については、東日本大震災の被災者を除き 50㎡以上 240㎡以下とします。
以上、4月1日に公布された平成24年度の税制改正についてポイントをしぼりご説明しました。今回の改正では個人に対するものが多かったのに対し、法人等については大きな影響がある改正はあまりありませんでした。 しかし、ご存知のとおり政局が混沌としており、消費税率増税についても衆議院は通過したものの参議院でこのまま成立するかどうかはすんなりとはいかないようです。相続税や所得税の増税の動きもまだ残っているようです。今後の税制の動向には注意が必要となりそうです。 税務に関してさらに詳しい内容をご相談の方は事務所までご連絡ください。