平成23年度の税制改正法案は東日本大震災等の影響を受けたこと等により、大綱のうち継続審査される法案と、別途の新たな法案として国会に提出されたものと分けられ、後者につきましては平成23年6月22日に成立いたしました。本格的な税制改革については継続審議になり、今回の改正では大きな改革は見送られました。
雇用を増やした企業、個人事業主に対する税制優遇制度が創設されました。
⇒ 次のような要件を満たした場合、雇用者の増加一人当たり20万円の税額控除(税額の10%(中小企業は20%)を限度とする。)が受けられます。 [1]1年間に5人(中小企業は2人)以上かつ、10%以上の雇用者を増加させていること。 [2] 適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること。 [3] 前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと 他 ※雇用促進税制の適用を受けるには、事前にハローワークに「雇用促進計画」を提出しなければならない等諸手続が必要です。 詳しくは所轄のハローワーク又は税務署等にお問合せください。
1.年金所得者の申告手続の簡素化 公的年金等の収入額が400万円以下であり、かつ、公的年金以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告書の提出が不要になりました。
⇒この改正は、平成23年以後の所得税について適用されます。 ただし、確定申告書の提出が不要である場合でも住民税については申告が必要です。
2.寄附金に係る特別控除の創設 認定NPO法人や一定の公益社団法人等への寄附金について所得税の特別控除が受けられる制度が創設されました。
⇒この規程は寄附金控除(所得控除)との選択適用になります。 特別控除の金額は、(対象の寄附金合計額-2,000円)×40%です。 ただし、所得税額の25%相当額が限度になります。
課税売上高が5億円超の事業者は、課税仕入等の税額の全額を仕入税額控除できる制度が適用することができなくなります。
⇒この規程は平成24年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。
以上、平成23年度の税制改正についてポイントをしぼりご説明しました。今回の改正は小規模でしたが、来年度以降の税制については復興のための大幅な増税は避けられないことから大幅な改正がなされるものと思われます。継続審議となった税制抜本改革法案や具体的な増税についてはこれからの国会審議等で決められますが、今後の動向には注意が必要となりそうです。